1909年にドイツで発祥し、100年以上の歴史を誇るユースホステル。世界中に4,000もの施設があり、日本国内でも200ヶ所以上の施設が運営されています。もともと若者が金銭的にも大きな負担がなく安心して旅ができるように、と始まっただけに、様々な取組で資源を“シェア”することで低料金を実現し、環境配慮にもつながっています。ユースホステルは、環境にもお財布にもやさしい宿泊施設です!

「ユースホステルは『ユース』の名前から若者向けのイメージがありますが、家族や団体向けの施設や部屋も多くあります。地域ならではのプログラムを提供していたり、半数近くが海外からのゲスト(宿泊者)の都市部にあるユースホステルでは国際交流ができたり、各施設ごとに特色があります。現在は3〜4人で一室の施設が増えているんですよ」と日本ユースホステル協会 ホステル事業課の池田和誠さん。「ユースホステルなら、家族4人で一泊1万円台で泊まることもできます。ひとり旅や友人同士の旅行、修学旅行や研修など、人数や用途に合わせて、手頃な値段で活用できます」

ユースホステルは、一泊3,000〜4,000円台で宿泊できる施設が多く、他の宿泊施設に比べると手頃な価格です。この価格を実現するために、様々な面でコスト削減に取り組んでいます。例えば、ベッドメイクは宿泊者自身が行い、タオルや歯ブラシも持参します。食事は希望者のみ(食事なしの施設もあり)で、食材費を削減しています。
また、部屋はバス・トイレなしがほとんどで、「建設コストが抑えられるのはもちろん、各部屋にシャワーや湯船を設置するよりも節水・節電につながります」と池田さん。「各部屋にはテレビを置かず、広間や食堂にだけテレビを置いている施設が多いです。静かに部屋で過ごすのもいいですが、自然とテレビのある広間に集まって交流することが、ユースホステルの楽しみ。各部屋のエアコンをオフにして集まり、いろいろな人とのコミュニケーションを楽しめば、無理せずにウォームシェア、クールシェアにつながります」

<都市型ユースホステルの東京セントラルユースホテル(東京都千代田区)。
明るい雰囲気の部屋(左)/談話室にはテレビがあり、交流の場に(右)>

ユースホステルの建物は、閉校した小学校、寺や神社、古民家などを改装して再利用しているものが多くあります。「茅葺き屋根の古民家やお寺を再生した施設は、日本ならではなので、海外のお客さまに人気です。地域の特色を生かしたプログラムを提供したり、施設ごとに個性があるので、ユースホステル巡りも楽しいですよ」(池田さん)

<美山ハイマートユースホステル(京都府南丹市)は、茅葺き屋根の古民家を改装(左)/
川根七曲宿ユースホステル(静岡県島田市)は、茶農家を改装(右)>

閉校となった小学校を、地域と意見交換をしながらユースホステルとして再生したのが「あすけ里山ユースホステル」です。「平成7年に閉校した小学校ですが、地域の人が大切に使っていた資源でもあります。この資源を“シェア”させてもらうことになりますから、地域の皆さんと意見交換しながら作りました。ゲストも、地域の人も、一緒に楽しんでもらえる場にしようと考えました」と、マネージャー(施設管理者)の小川光男さん。小学校の雰囲気はそのまま活かしながら、談話室の床は地元のヒノキの間伐材、壁は地元の杉板を使い、暖炉も地元の間伐材を使って燃やしています。また、小学校周辺の荒れた休耕田を地域ぐるみで手入れし、市民農園として貸し出したり、ビオトープを作って子ども達が遊べるように再生しました。

<地域の間伐材を利用した談話室。暖炉も地域の木で燃やします。(左)/
小学校の雰囲気が残る廊下(右)>

「足助は日本の原風景がそのまま残っている土地です。四季折々の自然を楽しんでいただくお手伝いとして、星の観察会をしたり、6月〜7月中旬にはホタルの鑑賞会をしています。ホタルを楽しむことができるのは、地域の人が水を大切にして、ホタルが住める環境が守られているからこそ。また、ここは風通しが良いので、以前は網戸とうちわだけで夏を過ごせて、地域の人が涼みに来るほどだったのですが、最近はエアコンなしでは過ごせなくなり、地球温暖化の影響を感じています。足助の自然に親しんでもらいながら、環境を守ることの大切さ、地球温暖化の現状などをゲストの方に伝えることで、CO2削減に貢献できれば嬉しいですね」(小川さん)

<閉校となった小学校を再生したユースホステル外観(左)/
周辺は「日本の原風景」そのままの風景が広がります!(右)>

ユースホステルは、限られた資源を“シェア”して環境に貢献しながら、地域の人やゲスト同士の交流があり、さらに各施設ごとに地域の特色を活かしたプログラムを提供しているので、常に新たな発見ができる宿泊施設。環境にもお財布にもやさしい日本全国のユースホステル巡りの旅を、楽しんでみてはいかがでしょうか?

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