ガラスの技術開発を手がけるヘラクレスガラス技研は、社員わずか6名。閑静な住宅街にある社の佇まい、そして社員数からは想像できないほど、この小さな企業には大きな可能性が秘められています。国内有数の樹脂合わせガラスの技術があり、CO2削減につながる商品開発が行われているのです!

ガラスの主な種類は、一般的な単板のフロートガラス、2枚のガラスの間に中空層を持たせ断熱性が高い複層ガラス、フロートガラスに熱処理を加えて冷却し強度を高めた強化ガラス、そして2枚のフロートガラスを中間膜で接着して作られる合わせガラスがあります。合わせガラスも大きく分けて2種類あり、一般的に大手メーカーで大量生産されているのはフィルム合わせガラスですが、ヘラクレスガラス技研が手がけるのはフィルムの代わりに液体の樹脂を注入する樹脂合わせガラスです。
「樹脂合わせガラスは中間膜に“はがれ”などの問題が起きやすいガラスでしたが、弊社はクオリティの高い樹脂合わせガラスを作る技術を持っています」と創業者でもある伊地知正樹社長。「フィルム合わせガラスは高温・高圧で接着しなくてはならないので、大規模な施設が必要ですし、高エネルギーを消費します。しかし、樹脂合わせガラスならば常温常圧で接着するので、高エネルギーは必要ありません。樹脂合わせガラスは、製造時からCO2削減に貢献できるガラスなのです」

<大手メーカーを定年退職後に起業した創業者の伊地知正樹社長(左)、伊地知正宏課長(中央)、伊地知治江取締役(右)。親族を中心とした小さな企業ですが、高い技術力と大きな可能性を秘めています。>

合わせガラスは、割れても破片が飛び散らない特性があり、防犯力に優れたガラスと言われています。ヘラクレスガラス技研でも高い技術力を武器に防弾ガラス「ヘラクレスⅥ」、防爆ガラス「ヘラクレスⅤ」を開発。防衛省や米軍基地、各国の大使館など、最強度の防犯力が必要な施設に採用されるほど、高い評価を得ています。
「防衛省や米軍基地に採用されたことが評価され、様々な企業から“こんな樹脂合わせガラスが作れないか?”と、技術開発のオーダーが舞い込むようになりました。中間層の樹脂を工夫することで、容易に高機能化し“ALL in ONEガラス”にできるのが樹脂合わせガラスのメリットです」と、渉外を担当する伊地知正宏課長。「研究を重ねるうちに、方向性として浮上したのが、製造時だけでなく使う時も環境に優しい“エコガラス”です。日射熱をカットする建築用合わせガラスの『ヘラクレス クール50』『ヘラクレス クール30』を開発しました」

<防弾ガラス「ヘラクレスⅥ」(左)、防爆ガラス「ヘラクレスⅤ」(右)。>

ヘラクレスの建築用樹脂合わせガラスは紫外線を99%以上カットし、大手メーカーの防音ガラスと同等(T-2レベル)の防音特性があるのに加え、「ヘラクレス クール50」「ヘラクレス クール30」ではさらに熱エネルギーの元となる赤外線をそれぞれ50%・30%カットする機能があります。樹脂合わせガラスが持つ安全性とともに、既存サッシに入る薄さで冷暖房の効率が良くなる“エコガラス”なのです。
「現在は、すでに施工済みの建物のガラスを撤去せず、その場で樹脂をガラスと貼付ける“後付け樹脂合わせガラス”の開発も進めています。サッシやガラスを丸ごと取り替えるより資源を有効活用できますし、ガラスを外せないビルにも対応できます。
また、中間層の樹脂に温度変化に反応する物質を使い、外気温が25℃を超えると赤外線をカット。室内の温度変化を緩やかにすることで、冷暖房の効率が良くなる“スマートガラス”の開発では既に基礎研究を成功させました」(伊地知課長)

<遮熱性を持つ「ヘラクレス クール50」(左)と、「ヘラクレス クール30」(右)>

「ヘラクレス クール50」「ヘラクレス クール30」をはじめ、ヘラクレスガラスは、機能性が高いにも関わらず、クリアな透明感が保たれています。建築用合わせガラス「ヘラクレスA」では、樹脂に色素を混ぜることでカラーバリエーションも豊富に用意しています。
「樹脂に工夫をすればよいだけなので、色も機能も理論上のバリエーションは無限です。大掛かりな施設が必要ないので、1㎡からの小ロットにも対応でき、海外への技術供与も比較的やりやすい技術です。現在はマレーシアと香港で展開しています」(伊地知課長)

<防弾ガラス「ヘラクレスⅥ」(左)と、「ヘラクレス クール50」(右)。
この厚みと機能がありながら透明度が高いのは、技術力の証!>

ヘラクレスガラス技研では、これまでは研究開発を中心としてきましたが、今後は「環境に優しい“エコガラス”をアピールして、モノを作って売っていくことにチャレンジしたい」(伊地知課長)とのこと。販路の開拓など中小企業ならではの難しさもありますが、様々な機構の支援も受けながらさらなる飛躍を目指しています。
紫外線も赤外線もカットしてくれる窓ガラスが家に施工されていれば、カーテンや家具の色あせなどの劣化を防ぎ、冷暖房の効率が上がることで光熱費も節約できます。そんな夢のような窓ガラスを選べる日が、間もなくやってくるかもしれません!

 

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