8月に開催される全国高校総体(インターハイ)を前に、開催地の山梨県と東京都で、「高校生クールアースセッション」(主催:読売新聞社、共催:公益財団法人 全国高等学校体育連盟、特別協力:環境省)が実施されました。

これは、高校生たちが気象予報士や先輩アスリートから地球温暖化について学び、自分たちにできることを考える“課外授業”です。山梨では、競泳の元日本代表・萩原智子さん、東京では、バドミントン元日本代表・小椋久美子さんが参加しました。

<山梨会場:萩原さん、藤森さんと山梨学院大学附属高校のみなさん>


<東京会場:小椋さん、依田さんと淑徳巣鴨高等学校のみなさん>


環境問題にも、地域を代表する気持ちで取り組めば!──山梨

6月23日(月)には、山梨学院大学附属高等学校(山梨県甲府市)で開催されました。萩原さんは同校の卒業生で、在学中インターハイの200m背泳ぎで3連覇しています。

最初に、気象予報士で、NPO法人気象キャスターネットワーク代表の藤森涼子さんが、「地球温暖化の今とこれから」を講義。スライドや映像を使って、「異常気象」や温暖化の現状、CO2が温暖化を起こす仕組み、温暖化の深刻な影響などが、分かりやすく説明されました。

  

<藤森さんの講義>


続いて、萩原さんと藤森さんのトークセッション「スポーツのできる環境を未来につなごう」がスタート。萩原さんの「スポーツ選手は激しく呼吸するので、余計CO2を出している?」という素朴な疑問(答は、息のCO2の元は食物で、家畜の餌も含め植物由来なので温暖化に影響しない)に始まり、「真夏の屋外では水泳のスタート台が火傷するくらい熱い」など、話が弾みました。

萩原さんは「高校2年の時にワールドカップ海外遠征で、国の支援を受けられずぼろぼろのウェアを着た外国の選手たちに出会い、当たり前と思っていたことが、そうでないことに気づいた」とのこと。「水道の水も海外ではそのまま飲めない。飲み水が無くなったら、最初に無くなるスポーツが水泳。だから水の大切さも考えるようになった」。
藤森さんはこれらを受けて「例えば制服など新しい服を工場で作るにはエネルギーを使い、その分CO2を出しているので、物を大切にすることは重要」と話しました。

  

<藤森さん(左側)と萩原さん(右側)のトークセッション>


山梨の最高気温が最近次々更新されていること、温暖化が進むと山梨名産の果実類も作りにくくなることなど、その影響に触れるとともに、環境省が進める温暖化防止のための取組「Fun to Share」と、「クールビズ」をはじめとした各種取組が紹介されました。

  

<果実への影響の説明/「Fun to Share」などを紹介>


高校生たちも自分たちが取り組む、低炭素社会実現のための行動アイデア「高校生クールアースアクション」として、「ソフトボールの道具の整備をしっかりして、長く大切に使う」「プールの水を再利用できるように(用途も含めて)考える」「地域のゴミを拾い、地域の人たちとコミュニケーション」などを提案。
高校生の提案に対して、藤森さんは「インターハイを目指す高校生が120万人くらいとすると、友達や家の人に取組を広げれば、ものすごいパワーになる」。萩原さんは「ゴミ拾いなども、山梨を代表してインターハイでやってやる!くらいの気持ちで取り組むと、周りの高校生も影響を受ける」と励ましました。


スポーツも温暖化対策もチームワークが大切──東京

6月25日(水)には、淑徳巣鴨高等学校(東京都豊島区)で開催されました。はじめに気象予報士で、NPO法人気象キャスターネットワーク会員の依田(よだ)司さんが、「地球温暖化の今とこれから」を講義。水を入れたペットボトルにCO2を入れて振ると、CO2が水に吸収されてボトルがへこむ実験を通して、海のCO2吸収力の限界を説明するなど、興味深いお話が続きました。

  

<依田さんの講義風景>


次は、小椋さんと依田さんのトークセッション。小椋さんは依田さんの講義について、「人間1人が1日に出すCO2はサッカーボール600個分と数字で示されると、リアルに感じて怖いと思った。また、地球温暖化のシミュレーション画面を見ることで、温暖化対策を何も取らないと地球が高温になることもリアルに感じました」。依田さんは「高校生のみんなは、小椋さんのように世界で活躍する可能性があるのだから、地球環境のこともわかっておいてほしい」と話しました。

小椋さんが「私が高校生の頃は練習中に水分を摂れなかったが、社会人になってからはちゃんと水分補給を心がけた」と体験を語ると、依田さんは「28℃を越えると熱中症に特にかかりやすいので、マメな水分補給を。ここ東京は特に暑くなっていて、最高気温35℃以上の『猛暑日』は僕が子どもの頃は殆ど無かったが、2010年は10日以上ある」と、スポーツにとって過酷になっている環境と、熱中症について注意を呼び掛けました。

  

<依田さん(左側)と小椋さん(右側)のトークセッション>


そして、依田さんが、地球温暖化防止のための取組「Fun to Share」と、「グリーンカーテンプロジェクト」など各種対策を紹介。小椋さんも「私も小さなことですが、エコバッグやマイボトルを持つようにしている。ゴーヤのグリーンカーテンにも取り組みたい」とのことでした。

  

<「Fun to Share」などを紹介/高校生からの提案>


高校生からは「こまめに蛇口を閉めて水の使用量を減らす。使っていない部屋の電気を消す。一人でも多くの人とシェアして行動」「緑のカーテンづくりで、リラックスでき、免疫力が上がり、CO2を吸収し、新鮮な空気を取り入れられる」などの「高校生クールアースアクション」が提案されました。

小椋さんの「個人競技のバドミントンもチームワークが大切」の声に、依田さんが「スポーツも、世界のみんなが一つにならないと食い止められない温暖化対策も、チームワークが重要という意味で、根底には同じような所があるのかもしれない」。
最後に小椋さんは、「温暖化が進めばスポーツがやりにくい環境になる。今日のお話を聞いて意識を変えてもらえたら」。依田さんは、「運動会の大玉転がしの1.2mの玉を地球とすると、空気の層はわずか1mm。人間が勝手なことをすると、簡単に地球全体の環境が変わるほど脆いことを常に意識してほしい」とメッセージを送りました。

各地の高校生から寄せられた「高校生クールアースアクション」

今回の高校生クールアースセッション開催校となった山梨学院大学附属高等学校、淑徳巣鴨高等学校をはじめ、各地の高校から寄せられた、低炭素社会実現のための行動アイデア「高校生クールアースアクション」の一部をご紹介します。

  • ・スポーツと環境を結びつけて考え、行動に起こすこと(山梨学院大学附属高等学校)
  • ・みんなで様々な情報を「Share」し、みんなで楽しく「クールアースアクション」(淑徳巣鴨高等学校)
  • ・環境保全の重要性を学校新聞を通して発信し、本校生徒の地球温暖化および地球温暖化防止に対する関心、意識を向上させる活動(石川県立金沢桜丘高校 新聞部)
  • ・部で給水ボトルを用意し、個人でのペットボトル利用を控えること 最も気温が高い時間帯の練習は避け、高くなるような場合はアイシングで対応すること(名古屋市立桜台高校 女子バレーボール部)
  • ・飲料水は、水筒やドリンクボトルを利用し、ペットボトルの使用をなるべく控える(高田高校(三重県)ハンドボール部)
  • ・昼休みは不必要な電気を消す「ランチタイム節電」(高田高校(三重県)環境委員会)
  • ・なるべくCO2を排出する乗り物をさけ、体力作りのために走って移動する(上智福岡高校(福岡県)バドミントン部)
  • ・部活道具を大切に使用し、リサイクルできる物はするように心がける。ゴミをあまり出さないようにする。部活動で校外に行くとき、ゴミを拾い、リサイクルできるものはリサイクル箱に捨てる(上智福岡高校(福岡県)バスケットボール部)

(原文のママ)

◎「高校生クールアースセッション」について詳しくはこちらで順次公開

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